「こんな世界があるなんて知らなかった。このように生きている人々のことを今まで見ようとしてこなかったことを恥ずかしく思う。」というほど世界を見ていないわけではないし、このように生きている人も、それは、いるだろうなあ、と思う。
だからこそ、「これは映画の世界だ」と切り捨てることは私にはできない。『岬の兄妹』で描かれている貧困は、別世界の話ではない。隣にあるかもしれないし、遠くにあるかもしれないけれど、確かにそれはある。
真理子の生活。ああ、そうだろうな、うん、そうだな、と思うシーンがいくつもあった。
肇くんの「真理子ちゃん嫌がってんだろ」という言葉。真理子にとって身体を売る仕事に就いたことはどう捉えられていたんだろう。本当に「嫌」だったのだろうか。
以下、鑑賞メモ
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売春
働くことで社会とつながる
社会とつながったことが、部屋の明るさや窓からの採光で表現されている?
「生きてると、いいことってあるんですね」男子中学生の言葉。
半袖の制服、夏のプール、更衣室。
世界は常に何らかの光が存在している。その光にもいくつかの色があると思う。赤っぽい光だったり、黄色っぽい光、緑っぽい光。あの、更衣室のシーンは青色の光が流れていた。あの二人だけが透き通っていた。
妊娠のリスク。
100パーセントの避妊はないということ。
カメラワーク。
最後のほう、低身長症の男性の住むアパートの前の道でマリコが地面に突っ伏し、泣き叫ぶシーン。階上からのカメラワークにどうしても意味を感じてしまった。