明朝

全、きみに告ぐ

2024/03/09 0:37

KBS京都大友良英のJAMJAMラジオを聴いている。金曜の深夜はこの番組を聴いてそのまま地続きに、霜降り明星オールナイトニッポンをよく流している。好きな時間のひとつ。たしか初めて大友良英のラジオを聞いたのは、高知にいたころにときどき訪ねていたBARだった。JAMJAMラジオだったか、NHK-FMのジャズ・トゥナイトだったかはさだかではない。いつもマスターがそっとジャズやアンビエントやフォークを流す空間で、誰かの話し声であるラジオが流れているのは少し珍しいことのひとつだった。その場でradikoをひらき、何の番組かを調べた記憶がある。それからしばらく、そうして大友良英のラジオを家でも聞いていた。浅川マキをはじめて知ったのもこの店だった。インターンで金沢へ訪ねた際、2日目の参加へ向かう前に早朝から、彼女の眠る養法寺へ手を合わせに行ったことを思い出す。足の甲まで積もるほどの雪の日だった。あれからもう1年とひと月が経つ。きょう北大路のビブレから出た頃にも、湿度の高い雪がはらはらと降っていた。

 

沖縄への数日の滞在から帰ってきた。ひめゆりの塔で手を合わせるとき、資料館のなかをメモを取りながら歩いているとき、崩落した階段を越えてくだり人ひとりいない海の広がる健児之塔の浜へ辿り着いたとき、宿へ帰ってきてTHE BOOM島唄」の背景について語るボーカル宮沢さんのインタビューを読むとき。帰ってきた京都で、自転車を漕ぎながら思わず島唄を口ずさんでいたとき。自分が生まれる以前の時代について知ろうとしたり、その時代を生きた人びとの人生について考えたりするときになる、静かに祈るような気持ち。自分とて、生きているだけで尊いのだと信じる気持ち。

 

『初恋、ざらり』を読んだ。胸が打たれていくつもの記憶が想起されるような切なさに対して、比喩ではなく本当に心臓がズキズキとするその感覚を久しぶりに思い出した。

 

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