明朝

全、きみに告ぐ

あまりにもあまい

そう明るくない川沿いの道を歩いていると水辺からちゃぽんと何かが跳ねる音が聞こえました。魚でしょうか、それともうさぎでしょうか。バランスのよい短歌や文章を読んだときに感じる「バランスいいな」はそれ以上でも以下でもないように思えてしまって、自分で言っておきながら少しだけ寂しくなりました。もっとわかろうとすればいいのに。自戒はすべり台をおりる勢いのままにどこかへ飛んでいきました。暗くとも見つけられるでしょうか。漢字と平仮名で構成された短歌をつぶやくとき、向こうから平仮名4割カタカナ5割漢字1割の短歌が聞こえてきたらそれはきっと私です。5・7・5・7・7のリズムで歩きながら立ち寄ったコンビニは明るかった。ほろよいのクリームメロンソーダはあまりにも甘すぎて飲み切れませんでした。家に帰って炭酸で割って飲んだけれどそれでも甘かった。私の舌にちょうど合う飲み物を教えてください、Siri。憧れた言葉はいつかにとっておきましょう、例えば井の頭公園の昼下がりとか。

ただの水を炭酸水にしてしまう魔法が使えるのは私ではなくあなただということは重々承知しています。申し訳ございませんでした、とふくれた口の中で呟く。ボタンを強めに押して三回がちょうど。ぷしゅっという音が聞こえたら十分の合図。はじめは刺激が強くともじき慣れるでしょう。それを待つまでの間には、いつかペディキュアが剥がれたままだった日のようにラーメンを啜りたい。ついつい度を超えるのはいつもの癖なのでそっと見過ごしてください。昼になっても起きたくないや、と言いながらも例になぞらえてそのうち体を起こすのだからそれなら非日常を朝から楽しめばよかったのにね。非日常が日常になったときそこに昼があるんだ、と知ったのはそう遠くない日だったように思います。知らんけど。

新宿にも三鷹にも聖蹟桜ヶ丘にも蔵前にも今はあまり行きたいと思わないけれどなんとなく赤羽に行きたくなった。ひとときのそれ。何があるわけでも何がないわけでもないところがいいよね、と言うと住民にいささか怒られる。のらりくらりと交わすような言葉に説得力と少しばかりの愛を。夕暮れ時に動き出す街は掃除をするあなた。日が変わる頃におかえりなさい、を告げるのは路地裏の猫だといいのだけれど。明治通り沿いの末に、シャンハイシャオツーの揚げパンを食べに行きませんか。