明朝

全、きみに告ぐ

あなたは世界で一番優しく強く、美しい

iPhoneのメモに日記のような下書きのようなメモのような何千字もの思考の断片が日ごとにたまっていく。澱をそのままにしているとまるで詰まりそうで、公開するしかなかったことをひととき許してほしい。あなたに対して感じている愛しさや尊さみたいな口に出すのは少し恥ずかしいような感情を戸惑いの中で少し時間をおいてしまったり経験に反した突飛な言動をしてしまったりすることは照れ隠したパッケージでしか届けられない性格ゆえのものであるからして、解ってくれなくていいから分かっていてだけくれよ。人と人とが仲良くなったり関わったりするとき、やっぱりそこには利害関係が存在すると思う。それは硬質な意味をあらわすのではなく、「お互いがお互いの存在を必要としている」というシンプルかつ柔らかく暖かい感情をあらわした関係性であると思う。互いに補完できるものは極めて未知数であり、それは私があなたとの密なコミュニケーションを取ろうとできていない現状に起因する。しかしおそらく今は対話のための働きかけあるいは努力をおこなえるほど心の湯船は溜まっておらず、言ってしまえば余裕を持ち合わせていない。いつかインターネットで目にした「受けた愛の分だけしか、人は人を愛せない、だから愛される人になることから始めろ」という言葉に尽きる。私たちは、と主語を大きくすることは避けたいけれど私は、とひとりごちるような話でもなく、なぜならこれは私とあなたの話だから。ただ何となく、互いを愛したり互いに愛されたりする準備が整っていないままに私たちは出会ってしまったような気がする。人はこうやって大人になっていくんですね、という気持ちのなかで‬。それは、一般に相性という言葉で表現されるのかもしれない。恐ろしいほどに相性がぴたりと合う部分があるように、そうでない部分ももちろんある。人はパズルのピースとは違い、全員が固有の凸凹を持っている。そう思って生きたなら、たくさんの人と話してたくさんの人の魅力を知ろうとできるのではないかと今は思う。人は固有の美しさを持っていて、それはあなたにもあり、私にもある。私が私のことを世界で一番優しく強く美しいと思っていることは、私が私の悲しみを解きほぐすためであり、しかし中には敵わない美しさも存在する。美しさの固有性に抗うことはできない。私は私の思う私に対してのみの美しさの中でこれまでも戦ってきたし、これからも戦っていくのだと思う。いまはちょっと負けそうだけれど、そうありたい。これはおこがましいことかもしれないが、どうかあなたにもあなた自身のことを世界で一番優しく強く美しいと思ってもらえたら、と願っている。ぼろぼろの身体にぴったりと合う大きさの絆創膏を傷口に貼り朝日に向かって歩く今日は鏡川沿い水滴の草木