明朝

全、きみに告ぐ

2020年4月23日 不安な夜は

あるとき以来聴けなくなってしまっていた曲がある。iPhoneに入れていて聴こうと思えばいつでも聴けるのに、イントロを数秒再生するといつも親指で再生ボタンを止めてしまう、を繰り返していた。その曲を今朝、ふと思い立って聴いた。5分間目を閉じながら聴いていると、頭の中には朧げな風景や表情が往来していった。毛布、朝日、玄関。たしかな温度を帯びているシーン。この曲を聴く前は聴くことで何らかの変化や終末が訪れるような思いがあって躊躇していたけれど、聴き終えてみて分かったのはそう簡単に崩れるような柔なだけの時間を過ごした訳ではないということだった。記憶の箪笥に仕舞っている曲、誰しもあるんだろうか。記憶の箪笥に仕舞っている曲のある人とは、仲良くなれると思う。きっとそれは人生で何十回も聴くようなものではなくて、ただ今日は聴くべき日だった。