明朝

全、きみに告ぐ

496マイル

今は遠くにいて、もうずいぶんと長く会っていない人のことを思い出しながら書いた曲がある。

 

その人と最後に会ったのは昨年の11月の終わり、ちょうど今くらいの時期だったと思う。

会った理由は、その人から「卒論のための調査に協力してくれませんか」と連絡があったことだったと記憶している。

その人から来た久しぶりの連絡は、丁寧そのものだった。適切な情報が全て整理されまとめられており、気負わせないための配慮と心遣いを持ったメッセージだった。

 

今日、その人が卒業したのと同じ学科の人から、昨年のように調査協力のお願いをいただいた。

ふと、一年前のことを思い出してしまった。

今日は一年前にその人と会ったときと同じカーディガンを着ていた。

 

思い出すための材料は、そこかしこに存在していた。そしてそれらは普段、気配を消している。

 

遠くにいる人へと思いを馳せることに没入する瞬間がときおりある。

その人の住む場所が私の行ったことのない街だと、よりいっそう心が踊る。

家の近くに商店街はあるのかな、いつも行くコンビニはファミマかな、セブンかな、お気に入りの喫茶店やごはん屋さんはどんなところだろう。そこで君はどんな本を読むんだろう。

知らない街角の、知らない片隅で歩く君は今日、どんな表情をしているんだろう。今日、君は何に微笑ましさを感じたんだろう。

夕食は、何を食べるんだろう。

 

「会おう」って連絡しない限り会わない(し、会えない)くらいの距離感の人が増えてきたことを再確認する。

近くの人も遠くの人も、大切にできる限り、大切にしたいと感じる。

 

 

イヤホンより流るるは、くるり『奇跡』

閉じた目を開いた折、こぼれ落ちるは窓の結露

君過ごす今日へとジェット機とんでいく

スパイス香る喫茶店にて