なんでもない(というのはまったくの嘘である)ことを思い出した。数日前に知人と賞レースの話をした。そのときその彼は「THE WってなんでM-1と同じ12月にやってんねやろ。そもそもTHE Wっていう大会の存在価値がまったくわからへんねんな。なんで女芸人だけをフューチャーすんねん。THE W(Woman)があるんならTHE M(Man)が絶対にあるべきやろ」と言っていた。埋められない断絶に気づくときのかなしさ。この瞬間、昔テレビのある討論番組で田嶋陽子が橋下徹と交わしたという会話を思い出しながら、目の前の相手に対してサーッと愛着が引く感覚を覚えた。
田嶋「そんなことも分からないの!? この社会そのものが男性センターだからだよ!」
— MAEDA Takahiro (@maesan) February 17, 2020
橋下は100%のキョトン顔で、わざとはぐらかしてるんじゃなく心の底から「何を言っているのか分からない」といった表情で、
橋下徹「は!? どこにあるんですか男性センター、どこにもないじゃないですか!」
わたしが「つまりそれって、少なくともいまのお笑い界全体がTHE M(Man)であることを表してるわけだよね」とそれとなく言うも、それとなく強く反論が返ってきた。そうか、こういう考えの持ち主だったか、と思った。思ったというだけのことではある。思ったというだけのことの大きさ。
追記 2023/12/10 3:37
そういえばその会話相手は「賞金が1000万円なことにも納得できひん。M-1とキングオブコントが1000でR-1が500ならTHE Wも500やろ。だって全人口中の女性割合は半分やろ。それを全芸人に対する女芸人の割合として考えたら、全体の半分の人たちにしかWの参加資格は与えられてないわけやねんから」とも言っていた。「そもそも芸人の男女比は1:1ちゃうやんか」と言い返すわたしの声のやるせなさ。反論したくもない論理というのはこの世に存在していて、そうした論理にも反駁できるような理性を身につけていたい。