明朝

全、きみに告ぐ

ラジオ

春が来たから全てが許されたように錯覚する。君の確かな指がマスクをずらし不確かな音楽を奏でるとき、フロアの人々はその音楽を自分のもののように感じるのでしょうか。そうだといいですね。よくないけど。口の中の飴は甘い。君の誕生日の存在に、過ぎたころ気付いてよかったです。誕生日と元日だけ、元友人の連絡先を解除するような人間にだけはならないでください。

壁にかけた絵画は鏡越しにこちらを見ている。不確かな音楽がNo.IN05から聞こえるころ、ベッドの中で眠る湯たんぽはきっと冷えているでしょう。しばらく使っていなかったケトルに、湯たんぽの水を移し移し使っている。これは本当に春ですか?四季など実在せず、夏と冬の繰り返しなのであるという好ましい声に頷きながらカレーを温めます。