明朝

全、きみに告ぐ

書き殴る、をする。

 

卵豆腐とプリンが同時に食べたくなった。相変わらず見境がないですね、という声。夜が朝になるころにするお別れに際してまたね、と言って振り返ったそこにはバイカルアザラシしかいませんでした。目が怖い。すーすーする化粧水を塗ってあげるからどうか許して。頭のてっぺんだけが明るくなったあなたはもう昨日までとは違うのでしょうか。変わっていないところを確認して安心するようなずるさをどうかサンリオ大賞の投票にも活かしてください。

1年前、先生に貸してもらったバイカルアザラシの図鑑は私にとって大切な一冊になったけれどそうではない人もいるようです。犬や猫を好きなようにバイカルアザラシが好きでもいいじゃないか。でも、もうダメかもしれませんね。犬や猫が好きな人にどうやってバイカルアザラシの愛しさを伝えたらよいのか私には分かりません。あなたにとっての正しさと私にとっての正しさが異なることは深夜4時の暗闇の中でも明白ではないでしょうか、と言いかけて口をつぐむ。まだ犬や猫のことを好きでいたい。

川沿いの道はどうやら急に明るくなったり暗くなったりするディスコ仕様のようです。明るくなった瞬間にだけ目の前に見えるバイカルアザラシは、さっきよりも可愛く見えてしまいました。人間とアザラシの間でもインプリンティングは有効でしょうか。と聞いた声は、とんと向こうに歩くからし色の服を着たあなたに届いたのでしょうか。かろうじて、こちらからはまだあなたの姿が見えます。あなたがからし色を好きでよかった。朝露で濡れる草むらは青い匂いと川からの湿気に負けて朝を迎えました。四つ葉、山羊、自転車。いつかあの橋の上で一緒にアイスを食べたあの子は元気でしょうか。もうサークルKファミリーマートになってしまいました。しょうがないからほろよいのクリームソーダ味を一本だけ買って帰ります。

散歩から帰宅してテレビをつけると聞こえてくるのは呪文。木片で木片を叩く音。リモコンを掴み赤いボタンを押し目線を手前に落としても、そこにあるのはただの小さなテレビであって機能は対して変わらないようです。小さなテレビの中でも人は喋っています。たくさんに語りかける誰かより私に語りかける一人にばかりチャンネルを合わせる癖はいつになったら治りますか。ちょうどいい大きさの絆創膏はもう切らしてしまいました、財布の中の一枚を除いて。